Powerslideの2021年に新登場した、長距離スピードスケートの入門者向けブーツを転用したアーバンブーツ「Arise SL(アライズ エスエル)」。
名称の「SL」は「Slalom」と「Super Lightweight」の略称を兼ねたもので、スピードスラローム用あるいは超軽量の街乗り用として設計されたインラインスケートブーツです。
最後の方に姉妹ブーツの「Arise RD 」と「Arise Marathon 125」も紹介しています。
商品
項目 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
商品名 | Arise SL | Trinity |
メーカー | Powerslide | - |
型番 | 908380 | - |
参考価格 | 69,000円(税別) | - |
総重量 | 1,227g | EU40片足 |
構成
パーツ | ギア | 重量 | 規格 |
---|---|---|---|
ブーツ | Arise (カフ付き、EU40) | 491g / 片足 | Trinity |
フレーム | Ego SL 243mm 3x110 | 182g / 片足 | Trinity |
ウィール | UC Raw 110 Red | 149g / 個 | - |
ベアリング | Wicked ABEC 9 | 11g / 個 | 608-2RZ |
スペック
ブーツ
- スピードブーツ「XXX」を元に作られた、カフ付きのセミレースタイプのスピードブーツ。
- カーボンシェル。
- パッドは薄めで、タイトなフィット感。
- Arise専用のカフとフロントベルクロストラップ(つま先のバンド)は取り外し可能。
- フレームマウントはPowerslide独自の「Trinityマウント」。
- フレームの取り付け位置を左右に約1cm調整可能。
フレーム
- Ego SL 243mm 3x110
- 押出成形の6061アルミ製。
- 最大ウィール径が110mmの3輪フルフラット仕様。
- フレーム長(1輪目と3輪目の間隔)は243mm。
- フレームマウントの規格はPowerslide独自の「Trinityマウント」。
- フレームの取り付け位置を前後に約1cm調整可能。
- 3x110のアルミ製Trinityフレームの中で最軽量。
- ブリッジなし。
- 左右ともにシャフトの差し込みは右側から。
ウィール
- Undercover「Raw 110 Red」
- 最新の「Ultra High Rebound」ウレタン使用。
- 路面からの振動を吸収し、グリップ力もある。
- 長距離滑走やフリースケート向き。
ベアリング
- Wicked「ABEC 9」
- 普段使いとして十分な回転性能があり、ストレスなく高速滑走ができる。
- 1歩目からスピードが出るオイル仕上げ。
- メンテナンスしやすい片側ラバーシール。
その他
- ヒールブレーキの取り付け不可。
レビュー
履き心地
スピード用やホッケー用のブーツを履いた経験がないと、パッドが薄くて硬く感じるかと思いますが、「硬い」と「痛い」は別物です。
極力パッドを使わないようにしていますが、ブーツが薄くても剛性不足とならないように足首回りが硬くなっています。
硬いのですが、ひと昔前のブーツのように、足を入れてすぐに履いていてつらくなるような感じはありません。
しっかり足にフィットして、履き心地は悪くありません。
かかとや土踏まずのフィット感がしっくりこない場合は、つま先部分のない3/4タイプのインソールを使用しても良いかと思います。
また、路面からの振動が気なる場合は、薄いインソールを入れても良いと思います。
フィットネスやアーバン系ブーツに比べて幅が少し狭めですが、スピードスケートのブーツは、元来ソックスなしで履くものなので、タイトな作りになっています。
足がきつい箇所がある場合は、熱成形をすれば解消されると思います。
ソックスを履く場合は薄手のものを着用すると良いと思いますが、薄すぎると靴擦れの原因になるので、タイトな機能性ソックスなどがオススメです。
ブーツの背面1点留めのArise用カフは、一見頼りなさそうですが、横方向へのサポートをしっかり補強してくれます。一方で足首の動きを邪魔しない作りになっています。
僕自身は、カフのバックルはかなりゆるく締めていて、足が取られた時などに足首を痛めないための保険のような使い方をしています。
付属しているつま先のフロントベルクロストラップを締めなくても、つま先が大きく動くことはないと思います。
そのため、スピードスラロームなどでつま先をがっちり固定したい時以外は、このストラップ外していても操作性に影響が出ることはありません。
操作性
まず、カーボンシェルの上にソールが薄く、路面とのダイレクト感を強く感じられます。
そしてソールだけでなく、足首回りの剛性が高いので、レスポンスがとても高く、荷重やキックした際の力が無駄なくウィールに伝わります。
カフがなくても足首回りのサポート力は十分にあります。(そのため、長距離滑走しかしない場合はカフなしで3x125ロングフレーム付きの「Arise Marathon」も良いと思います)
しかし、ブーツの背面1点留めのArise用カフも、しっかり役立ちます。
インラインスケートにまだ慣れていない人、少しでも足首のブレを無くしたい場合や、ブーツを倒し込んだ時のレスポンスを上げたい場合などは、このカフがサポート力を上げてくれて操作性を向上してくれます。
長距離滑走などの純粋に滑る時はもちろん、スピードスラロームやインラインアルペン(インラインスキー)など、素早い繊細な操作やブーツを倒し込む操作もしやすくなっています。
Ego Sl 3x110フレームは軽量化されていますが、剛性は十分にあるので、長距離滑走や街乗りはもちろん、スピードスラロームやフリースケートにもしっかり対応してくれます。
UndercoverのRaw 110ウィールは路面からの振動を吸収してくれるので、滑り心地がかなり良いです。
その上に、グリップ力もしっかりあるので、荒いアスファルトやタイル張りの路面でも、スリップを気にせずに滑ることができます。
スピード(ローリング)
硬いカーボンシェルとアルミフレームがしっかりウィールに力を伝えてくれて、オイル仕上げのABEC9のベアリングも、1歩目からスムーズに回転してくれます。
ただし、UndercoverのRawウィールは滑りやすいのですが、路面によっては滑り始めにほんの少し転がり抵抗を感じるかも知れません。
しかし、滑りが重くなるなど操作に影響が出ることはなく、滑り始めたら気にならなくなる程度で、通常の使用ではまったく問題ないレベルです。
トータルとして十分すぎるほど3x110のスピード感を楽しむことができるブーツです。
カスタマイズ
フレームやバックルなど、ブーツに付いているパーツは全てネジで取り外し可能です。
カフも、ブーツの背面(アキレス腱の辺り)にネジ1本で取り付けられているだけなので、プラスドライバーで簡単に外せます。
熱成形可能です。
オーブンで加熱する場合は、ウィールを外したブーツを庫内温度80〜90℃で20〜30分温めた後、しっかりかかとを合わせてからシューレースでしっかり締め、ブーツが冷めるまで待ちます。
ドライヤーで加熱する場合は、1ヶ所に熱風が集中して特定のパーツが熱くなりすぎたり、溶けたりしないように気をつけてください。
特に当たりがない場合はそのままでも良いですが、熱成形をするとフィット感が増すと思います。
コストパフォーマンス
税込みで7万円以上と、価格が少し高めのブーツです。
しかし、ブーツは本格的なスピード用ブーツをベースとしたカーボンシェルのもので、フレームもウィールも品質が良いものが付いています。そのため、ギアにこだわる人もパーツ交換せずに、購入したままの状態でストレスなく使用することができるはずです。
このように、価格はスペックや性能に見合ったものだと思います。

総評
足首のサポートがしっかりあるスピード入門者向け軽量インラインスケートブーツに、取り回しやすい大径3輪フレームと、アスファルト上で滑りやすいウィールが付いたものとなっています。
カーボンシェルのスピードブーツなのでレスポンスが抜群に良くて、Trinityマウントと薄いソールによる安定感もあるので、これ以上ないくらい気持ちよくキレのある動きができます。
スピードスラローム用ブーツとして、確実にタイム短縮が狙えるブーツだと思います。
フリースタイルスラロームやトリックスラロームで使用するブーツよりパッドやソールが薄いので、よりダイレクトで、より機敏にブーツをコントロールできるはずです。
また、Trinityマウントによって他社のブーツより重心が約1cm低くなっているのも、安定感と操作感において、かなり有利になるかと思います。
足のサイズによってはフレームを3x100に変更したり、競技会本番ではMatter「G13」などのスピード用ウィールに交換するのがベストだと思いますが、このブーツはより速いタイムを叩き出すための強い味方になってくれるでしょう。
実は、インラインアルペン(インラインスキー)競技向きでもあります。
フレームを「XXX 330mm 3x125」などのロングフレームに変更し、Matter「Code Extreme 125mm F1 86A」のウィールを付けて、インラインアルペン競技に取り組んでいる人も見かけます。
セミレースタイプのブーツやスラローム用ブーツでインラインアルペンをしている人たちにとって、新たな選択肢となるブーツでもあるようです。
スピードスラロームに最適なブーツではありますが、長距離クルージングをするのにも向いています。
カフ付きの軽量ブーツと超軽量フレームに、滑り心地とグリップの良いウィールが付いているので、足への負担が抑えられたセッティングでもあります。
すでにクルージングを楽しんでいるけれど、スケーティングのフォームにこだわり始めたり、フィットネスブーツやアーバンブーツから次のステップに進みたい人にもオススメできるスペックのブーツです。
長距離滑走を楽しんでいるけれど、スピードブーツは本格的すぎて自分には合わないと思っている人も、このArise SLを履いたら、きっとその操作性の良さを気に入ってくれると思います!
姉妹商品
Arise RD
Arise SLとフレーム以外は同じスペックのスピードブーツに属するブーツです。
唯一異なるフレームは「Elite MG 10,6" 270mm 3x110」が付いています。
鋳造製ですがマグネシウム合金でできているため、とても軽くて剛性も高いものになっています。
3x125フレームより低重心で安定感があり、スピードと取り回しやすさのバランスも良く、ロングフレーム初心者も安心して滑ることができる絶妙な規格のフレームです。
また、足のサイズが大きいなど、243mmではフレーム長が短く感じている人にもオススメです。
Arise Marathon 125
樹脂製カフなしのAriseブーツに、3x125のロングフレームと125mmサイズのウィールが付いた、マラソンスケートにチャレンジする、あるいはすでに楽しんでいる人たち向けのブーツです。
ブーツはArise SLと少し異なり、最初から樹脂製のカフがなく、上から3番目のシューレースホールの位置が前に付くなど、より軽量化されてホールド感も変更されたブーツとなっています。
とは言え、サポート力やフィット感にまったく不足はありません。
フレームは「Elite MG 12,5" 318mm 3x125mm」。
超軽量なマグネシウム合金製、125mmウィールの3輪で、少し短めのロングフレームが付いています。
ウィールはUndercover「Raw 125 White」。
Arise SLと同じRawの125mmバージョンですので、屋外の様々な路面でも滑りやすいウィールです。
樹脂製カフはないものの足首のサポートはしっかりあり、フレームもウィールも、これから40km、50kmなどの長距離滑走に取り組む人にぴったりのスペックになっています。
もちろんレースに出場せず、川沿いなどのクルージングを楽しむ人にもオススメのブーツです。
参考
2021年8月現在、一部のサイズが売り切れとなていますが、Shop Skrapで「Arise SL」Arise RD」「Arise Marathon 125」が予約取寄せにて販売中です。